春節(旧正月)とビットコインのアノマリーから考える最適解とは?

旧正月(春節)前後は、ビットコインを含む暗号資産において特有の価格動向が見られることがあるとされています。本記事では、過去の旧正月前後におけるビットコイン価格を比較し、その傾向や買いのタイミングについて考察します。あくまで過去傾向や統計的データであり、将来を保証するものではない点に注意してください。

旧正月アノマリーとは?

旧正月(春節)は、中国をはじめとするアジア圏で最も重要な祝祭のひとつです。多くの投資家が休暇に入るため、株式市場や商品市場だけでなく、暗号資産市場にも影響が及ぶことがあります。主に、

  • 旧正月に向けた現金需要が高まるため、一部の投資家がビットコインを売却しやすい
  • 旧正月休暇中に市場参加者が減少し、一時的に流動性が低下しやすい

などの理由から、ビットコイン価格が“下落→旧正月明けに反発”というパターンを見せることが多いと言われています。ただし、世界経済の動向や規制ニュースなど、他の要因の影響も大きいため、毎年同じ値動きになるわけではありません。

売買時期

旧正月初日に購入し、旧正月が終了してから15日後に売却

ビットコインと旧正月(春節)のアノマリー:2013年~2022年

旧正月(春節)前後はビットコインを含む暗号資産市場において、特有の値動きが観察されることが多く、“旧正月アノマリー”とも呼ばれます。ここでは2013年から2022年にかけての旧正月前後のビットコイン価格の動向を振り返り、その背景を探ってみます。また、ビットコインにとって重要なイベントである「半減期(Halving)」の影響についても簡単に触れます。

旧正月前後の値動き(2013年~2022年)

旧正月の日付旧正月前(~1~2週前)の動き旧正月後(1~2週後)の動き
2013年2月10日1月下旬は1BTCあたり約20ドル前後で推移。
旧正月直前にかけて20ドル台半ばに。
旧正月後も上昇傾向が続き、
2月下旬には30ドル付近まで上昇。
4月には100ドルを超え大きく上昇。
2014年1月31日前年末の急騰(1000ドル超)後の調整局面。
1月下旬は900~800ドル台へ。
Mt.Gox問題などが表面化し急落。
700ドルを割り不安定な相場に。
2015年2月19日約200ドル台前半で停滞。
旧正月直前は220ドル付近。
旧正月後にやや反発し、
2月下旬~3月上旬には250ドル前後に。
2016年
(半減期:7月)
2月8日1月下旬は400ドル前後から370ドル台へやや下落。
旧正月直前は380ドル付近で推移。
旧正月後に取引量が回復し、
400ドル前半へ回復。
その後、7月の半減期までに徐々に上昇。
2017年1月28日1月上旬に1000ドル超えるも、
中国規制報道で900ドル台へ調整。
旧正月直前は920ドル付近。
旧正月後は1000ドル付近まで回復。
徐々に上値を切り上げ、
年末には2万ドル近辺まで急騰。
2018年2月16日約30~40%下落(1万ドル台中盤 → 8000ドル台)。
売りが集中し大幅な調整。
一時停滞後、3月にかけて徐々に回復。
ただし年末には3000ドル台まで長期下落。
2019年2月5日やや下落傾向(3500ドル → 3300ドル付近)。
依然として低迷相場。
2月下旬にかけて緩やかに上昇し、
3月以降回復基調強まる。
年中盤には1万ドル回復の場面も。
2020年
(半減期:5月)
1月25日8700ドル台から8300ドル台へ下落。
旧正月直前は調整色が強い。
2月初旬から回復基調に。
しかし3月、コロナ禍で急落(5000ドル台)。
5月の半減期前後から再度上昇トレンドへ。
2021年2月12日4万ドル付近で一時調整し、
3万ドル後半まで下落。
2月末から3月にかけて最高値更新。
6万ドル超を達成し上昇相場が継続。
2022年2月1日1月下旬の全体相場調整と重なり下落。
株式市場もリスクオフ気味で3万ドル台半ばに。
2月中旬以降はやや持ち直すも、
ウクライナ情勢などで乱高下。
一時4万ドル近辺まで戻す局面も。

2022年にはコロナショックがあるも、半減期の年ということでビットコインは大きく上昇し最高値を改めて更新しました。

旧正月前後に注目すべきポイント

旧正月前の売り圧力

旧正月前に売りが集中しやすいとされる要因には、お年玉や帰省費用などの資金需要が考えられます。また、大口投資家が年度末(旧暦ベース)に資金を確保する動きも多少影響している可能性があります。短期的に下落リスクが高まる可能性があるため、ポジションを調整するかどうかを検討する人も少なくありません。

旧正月後の買い戻し

旧正月明けには、市場が再稼働するとともに押し目買いが入りやすいとされます。特に、前述したように旧正月前に大きく下げた場合は、割安感から投資家が買いに走るケースが見られます。ただし、これは他のファンダメンタルズ要因(景気動向、規制ニュース、機関投資家の動きなど)が落ち着いている場合に限られ、必ず反発するとは限りません。

ビットコインは買っておくべき?

旧正月のアノマリーだけを見ると、「旧正月前に価格が下がった際に買いを検討し、旧正月後の反発で利益を狙う」という戦略が一つの考え方として浮上します。しかし、以下の点も併せて考慮する必要があります。

  • 世界経済・金融政策: 金利政策や景気指標が、ビットコインを含むリスク資産の価格変動に大きく影響。
  • 規制リスク: 中国だけでなく、各国の暗号資産規制動向により価格が急変動する可能性。
  • 暗号資産全体のトレンド: イーサリアムやアルトコインへの資金移動、NFTやDeFiなどの分野の盛り上がりによってBTCへの資金流入が変化。

従って、旧正月前の下げを狙って買うかどうかは、あくまであなたの投資スタンスやリスク許容度、そして他のマーケット要因を総合的に踏まえて判断すべきです。短期売買を狙うのか、長期保有を前提としているのかによっても異なります。

歴史的には、旧正月後に買い戻しが入って上昇するパターンが多かったため、「長期的にビットコインを保有する意志があり、短期の値動きによるリスクを受容できる投資家」にとっては、旧正月前後はポジション調整や買い増しを検討する機会になり得るでしょう。ただし、絶対的な根拠ではないので、状況をよく観察してから行動することが大切です。

まとめ

ビットコインと旧正月(春節)をめぐるアノマリーとして、「旧正月前に下落し、旧正月後に反発しやすい」という傾向が過去のデータから一定数確認されています。下落局面で買い増しを狙う投資戦略は短期的には有効に働く場合がありますが、世界経済や規制ニュースなど、他の要因によって値動きは大きく左右されるため、必ずしも毎年同じ結果になるわけではありません。

投資判断にあたっては、レバレッジを抑えてリスク管理を徹底し、余裕を持った資金で行うことが重要です。旧正月のアノマリーに過度に期待するのではなく、市場全体の動向や自分自身の投資スタンスを踏まえ、冷静に売買タイミングを見極めましょう。

【免責事項】
本記事は情報提供を目的としたものであり、特定の暗号資産(仮想通貨)の売買を推奨・勧誘するものではありません。投資にはリスクが伴うため、最終的な判断はご自身の責任で行ってください。過去の価格動向は将来の成果を保証するものではありません。